事業の拡大に伴い、管轄税務署を変更する「税務移管手続き」が発生します。
従来、移管前には事前の税務監査(決算監査:Quyết toán)が必要でした。そのため、手続きに数か月以上の時間を要していました。
しかし、2026年7月より運用が明確化されました。適切なコンプライアンス(Tuân thủ)を満たしていれば、税務監査前であっても住所変更や税務移管が可能です。
本記事では、その法的根拠と企業が押さえるべき要件を解説します。
1. 制度変更の法的根拠と主要条文
今回の運用明確化は、手続きの簡素化を目的に実施されました。
- 根拠法令: 税務管理法(Law on Tax Administration)第41条および関連施行政令
- 主要条文: 「所在地変更に伴う税務登録手続き(Thủ tục đăng ký thuế khi thay đổi địa điểm kinh doanh)」
従来の現場実務では、リスク防止のため税務監査を優先していました。
しかし新たな運用では、一定条件を満たす企業に対し、即時の移管受理を義務付けています。
2. 税務監査なしで移管が認められる「コンプライアンス要件」
ただし、すべての企業が無条件で移管できるわけではありません。したがって、企業は以下の税務コンプライアンス要件を満たす必要があります。
① 税務申告・納税義務の完全な履行
過去の申告書を期日通りに提出していることが不可欠です。さらに、確定済みの税額に未納がない状態を維持しなければなりません。
② eTaxシステム上の「滞納判定」なし
自社の税務アカウント上で、未払い金が発生していないことが求められます。なぜなら、少額の未納でも手続きがストップするためです。
③ 登録住所での事業実態の証明
旧住所で「事業未作動」の指定を受けていないことが前提となります。そのため、通知書類の受領体制を維持しておきましょう。
3. 実務上のメリットと留意点
この運用明確化により、拠点の移転を迅速に進められるようになりました。
【従来のフロー】
移管申請 → 税務監査の実施(長期化) → 移管承認
【新運用フロー】
移管申請 → コンプライアンス適格確認(即時) → 移管承認 → 移管先での通常監査
しかし、過去の税務リスクが免除されたわけではありません。
未実施の税務監査は、移管先の管轄税務署へそのまま引き継がれます。
したがって、移管後も過去の帳簿やインボイス管理の精度を高く保ちましょう。
まとめ:移管手続きのスムーズな進行に向けて
コンプライアンス遵守を前提とした新運用は、現地企業にとって大きな追い風です。
もし自社が要件を満たしているか不安な場合は、専門家へ相談するのも有効な手段です。
スムーズな拠点移転を実現するためにも、まずは現在の申告状況とポータル上のデータを点検してみましょう。
免責事項
本記事は執筆時における現地制度を参考に作成していますが、法令や税制は予告なく変更される場合があります。また、個別具体的な事案における解釈や対応は専門家の意見を必ずご確認ください。本記事の内容を用いたことによるいかなる損害に対しても一切の責任を負いかねます。
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