1. 何が変わる?(結論)
2026年7月1日から、電子インボイスに記載する「買手名義(買手の氏名・住所・識別情報など)」について、政令 254/2026/NĐ-CP の附属書(手引き)に基づく運用がより明確になります。
ポイントは大きく3つです。
- 買手が事業者の場合:買手の氏名(法人名)、住所、税コードなどを、登録内容どおりに記載する
- 買手が個人(消費者)の場合:氏名・住所・個人識別情報を求めるが、提供されない場合は「消費者向け販売」として扱う
- 買手が情報を提供しない場合でも、例外の取扱いがある(特定の業態・販売チャネル)
そして、これらは会計上「証憑が使えるか」「控除が認められるか」に直結します。
2. 買手が事業者(法人・個人事業者など)の場合:記載は“登録どおり”
提示資料にある要点では、買手が事業者(組織・個人事業者など)で、税コード等を持つ場合、電子インボイスに記載する買手情報は、次の登録書類の内容どおりに記載することが求められています。
- 会社・法人の登録証
- 支店の登録証
- 個人事業(世帯事業)の登録証
- 税務登録(税コードが分かる書類)
- 投資登録
- 組合(協同組合)登録 など
実務上の注意(よくあるミス)
- 社名の表記揺れ(短縮形、スペース、句読点、言語表記の混在)
- 住所の一部だけ合っていて、町区・省市が違う
- 税コード(または識別情報)の転記ミス
これらが起きると、会計入力はできても、税務・監査で説明が必要になる可能性が上がります。
3. 買手が個人(消費者)の場合:情報が必要/出ないなら「消費者向け販売」
買手が個人(消費者)で、氏名・住所・個人識別情報(個人の識別番号)が提供される場合は、電子インボイスにそれらを記載します。
一方で、買手が氏名・住所・識別情報を提供しない場合は、電子インボイスには明確に
「消費者向け販売(Bán cho người tiêu dùng)」
の趣旨を反映する(提示資料の記載方針)ことになります。
そして非常に重要なのが、提示資料にある次の注意書きです:
電子インボイスに「買手情報」がない/消費者向けに発行した場合、その電子インボイスは、他の事業者・機関・組織・個人事業者が費用計上や税額申告(決算)目的に使うのに有効でない場合がある
つまり、“買手が消費者として処理されてしまう”と、後で経費や税務処理に不利になるリスクがある、ということです。
4. それでも例外はある:特定の業態・取引では買手情報の記載が不要な場合
政令254/2026/NĐ-CPの附属書(提示資料では「ポイント9」)では、個人向けでも買手の氏名・住所・識別情報の記載が必須でないケースが列挙されています。
提示資料に含まれていた例(要旨)は次のとおりです。
- スーパーマーケット、商業施設、映画館などで、個人が情報を提供しない場合
→ 書かなくてもよい(電子署名も必須でない旨がある) - 個人に対する燃料(ガソリン等)の電子インボイスで、情報を提供しない場合
→ 記載項目が一部不要となる(必須項目が限定される) - カジノ、賞金付き電子ゲーム等の電子インボイス
- 電子商取引(オンライン取引)に関する商業インボイス
- 切符・券・カード等の形式では、販売形態により電子署名や買手項目が不要となる場合
大切な見方
「例外がある=何でも例外扱いできる」ではありません。
自社の取引が、その例外に該当する“販売形態・チャネル”かを、社内で判断できる状態にする必要があります。
5. 月次の会計実務に落とす:7月以降に必ず見直すべき運用
この改正(運用)で、現場が詰まりやすいのは「書類の有無」よりも運用の抜けです。そこで、やるべき見直しはシンプルです。
(1) 取引区分のルールを明確にする
- その取引の買手は「事業者」か「消費者」か
- 消費者扱いになった電子インボイスは、社内の税務・費用計上で使う前提か(使わない運用か)
(2) 仕訳入力の“根拠ステータス”を付ける
電子インボイスを受領したら、
- 買手情報あり(事業者として整っている)
- 買手情報なし(消費者向け販売)
- 例外業態の取引(所定の条件を満たす)
のように、会計担当が迷わないラベルを運用に組み込みます。
(3) 例外業態に該当する取引は、社内で判断根拠を残す
例外は「あとで説明できるか」で差が出ます。
判断した人・基準・根拠資料(契約書、販売条件、販売経路の記録)を残してください。
6. まとめ:買手情報の記載は「請求書の形式」ではなく“税務耐性”
2026年7月からの電子インボイスの買手記載ルール(政令254/2026/NĐ-CPの附属書の考え方)は、会計・税務の実務に直撃します。
- 買手が事業者なら、登録どおりの情報が必須
- 買手が個人で情報がないなら、消費者向け販売として処理される
- 消費者向けとして扱われた電子インボイスは、費用計上等に使えない可能性がある
- ただし特定業態には例外がある
“取引区分の判断と、仕訳に使えるかどうかの運用統制”を整えることが最優先です。

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